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第63回TOG総会・前夜祭を開催して

TOG副会長 町田利正

平成27年9月1日の朝刊各紙は、ホテルオークラ本館の、閉鎖を報じました。次期東京五輪までには、新装新たにオープンするそうです。
 本館の外観は重厚で落ち着き、ゆったりしたロビーは、天上から連なるランタンと、梅の花びらをイメージしたテーブルと椅子がほど良く配置され、上品な和風の趣がありました。一階の「曙」と「平安」の間は、絢爛で豪華です。
TOGの総会・前夜祭は、その「曙」で行われ華やかなイベントになりました。
なお、「平安」の間では、閉館の催事 、大倉集古館秘蔵のアートコレクション展「美の宴」~琳派から栖鳳、大観、松園まで~があり、国宝クラスの名品の数々が展示されていて、ゆっくりと観賞でき、思わぬ至福な時が持てました。
 
前夜祭は、竹村秀雄副会長の「開宴を祝う」、佐藤喜一会長の「挨拶」、久松正典運営委員長からの、新入会会員3名の紹介があり、永井泰先生のスピーチをお聞きしました。先生は、周産期臨床栄養学の大家です。参加者は少数でしたが、例年通りの、オークラの美味しいデイナーと、会員、奥様同士の会話が各テーブルで弾み、楽しい時間があっという間に進みました。今回のエンターテイメントは、バリトン原田勇雅さんのミニリサイタルです。東京芸大大学院修了、イタリア国立パルマ音楽院大学院を首席で修了、現在は東京芸大大学院博士後期課程に在籍、二期会会員です。ピアノは、小山里巴さん。桐朋学園大学出身。ソリストとして活躍中、6日前に原田さんと結婚、新婚さんカップルです。式後初のコンサートでした。
バリトンは、テナーに比べ地味ですが迫力ある地声が魅力でお招きしました。現在はイタリア歌曲を演奏活動の柱としていますが、我々が楽しめるよう、
「歌声の旅・世界紀行」と題し、名曲の数々を易しく解説し、独唱しました。
・平城山(平井康三郎)・野ばら(シューベルト)・君は花のよう(シューマン)・エーデル・ワイス(ロジャース)・愛の挨拶(エルガー)・サンタ・ルチア(民謡)・マンマ(ビクシオ)・月の光(ドビュッシー)・この中に私の運命がある(ヴェルデイ)等、心に響く歌唱力でした。「マンマ」は、私の無理やりのリクエスト。彼には初演です。故五十嵐清(テナー)の歌唱と同等の感動を受けました。クラシックの精通者、片瀬高会員から、イタリア歌曲が特に良質とおほめの感想を頂きました。
 
今年の冬季研修会・大忘年会は久松先生の大阪です。紹介とお誘いがあり、竹村先生、森本先生の病院見学ご案内用のスライドが投影され、竹村先生が説明されました。そして最後は、恒例の宮原通義先生の、中締めのご挨拶があり、参会者全員が、室内一杯に「聖者の行進」を行い、二次会へと移りました。
二次会は、三宅馨先生の「旅の話」です。神秘の島、屋久島の魅力を語り、次いで田宮親会員から始まるTOGの「語り部たち」のもの語り。あっという間に時間が過ぎ、柴田穣一先生の「集団的自衛権論」は持ち越しになりました。
 
総会は、竹村副会長の「ウエルカムスピーチ」。久松運営委員長の「平成26年度会務報告」公認会計士(顧問)住田光生氏の「平成26年度収支決算報告」があり全て了承。その後、企業協賛講演(大塚製薬)を挟み4席の講演が行われました。
全ての講演が歯切れよく、臨床に直結する、素晴らしい内容でした。今回は長めに報告いたします。
 
会長講演:『頭のいい奴』
 三宅先生が詳細に記述して下さいました。拙文は本年度年会誌に載せて頂きます。
 
記念講演:『ヘルスケアにおける大豆の新しい力『エクオール』(大塚製薬協賛) 
麻生武志 東京医歯大名誉教授

 最近、大豆から産生される『エクオール』が注目されている。大豆は中国原産で、古くからアジアでは良質な食料原として使用されている。大豆イソフラボンの一つが腸内細菌によってエクオールを産生する。日本人やアジア人の、約半数が産生するが産生不能の人もいる。欧米人は約3割しか産生できない。
注目は、日本の、心臓死、大腿骨折、乳がん・前立腺がん死亡率がアメリカに比べ顕著な低率を示す事にあった。また、大豆イソフラボンがもつ弱いエストロゲン作用は以前より知られていた。研究者の業績から、エクオールの女性更年期症状(ホットフラッシュ、首・肩こり)の改善、骨代謝(骨吸収、骨密度)の向上、肌に対する効果(シワの広さ、深さ),糖・脂質代謝・血管機能に対する効果が解明されてきた。エクオールの女性医療における新たな可能性として、健康増進・更年期症状対策(HRTの対象外、HRT禁忌、HRTで改善しない)・骨代謝改善・脂質異常症の改善・皮膚障害の改善等があげられる。

会員講演:『産科クリニックにおける妊娠糖尿病の管理』
第3回母子栄養懇話会会長 TOG運営委員 木野秀郷会員

妊娠糖尿病(GDM)は今,周産期疾患としての疾病概念が定まってきた。関連諸学会の討議によりコンセンサスが得られ、2011年から産婦人科ガイドラインに診療指針が掲載された。妊娠中の糖代謝は“生理的な妊娠中のホルモン動態”が深く関与し,糖尿病患者の妊娠とは状況がまったく異なる。GDMは妊娠により惹起された,糖尿病にまでは至らない,軽度の糖代謝異常である。
新たな診断基準は,75g OGTT で,空腹時血糖値92≧,1時間値180≧,2時間値153≧,この内,1点でも該当すれば,GDMと診断される。
 
当院におけるGDM管理
妊娠前期と中期の二段階で随時血糖(BS)検査を実施。BS陽性例には,OGTTと一日血糖入院検査を行い,その結果から管理方針を決定。軽症例には月一回程の血糖管理を行い,管理指針を適宜変更している。
 
前期と中期のGDMスクリーニング
前期BSは妊娠以前のDMスクリーニングの意義がある。妊婦のホルモン動態と糖代謝から中期以降にGDM発症の可能性が高くなる為,中期の全陽性例にOGTTを行い,前期陽性例にはまず,50gGCTから施行する。
 
ハイリスク妊婦に対するOGTT検査
①糖陽性例②高年齢妊婦③家族暦等13の関連因子を持つ妊婦に対してはOGTTを行っている。
 
1日血糖入院検査(Tages Profile)
OGTT陽性例には入院させてTages(7回の採血)を行い,管理方針を決定する。OGTTは究極の負荷試験である。実生活に準じた食事カロリー摂取でのBSの変化をみる。入院により医療者は妊婦の食行動を把握でき,妊婦は必要な給食の体験と分食・捕食によるBSコントロール教育効果が実感できる。OGTT陽性35名のTagesで28名は略正常範囲であった。
 
OGTTにおけるインスリン分泌測定の意義
OGTTではBSと共にインスリンの分泌測定を行う。GDMはインスリンの分泌不全よりもインスリン抵抗性の増大が病態の本質と考えられる。
 
GDMの管理方針
① 食事内容の決定 ②食後高血糖を防ぐ運動療法 ③採血管理の方針とIC。
GDM妊婦の出生時体重:2500g~3500gが66.6%。血糖トラブルは0例。
 
GDMの管理要件
軽度の糖代謝異常のGDM妊婦管理には,知識と経験のある管理栄養士,助産師の協力が不可欠で,適切な栄養指導と保健指導が有効である。GDMの本体はインスリン抵抗性の増大であり,食事療法や運動療法が有効である。   

特別講演:『子宮収縮薬を用いた陣痛誘発と陣痛促進の注意点』
中井章人 日医大永山病院教授

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